人間ドックで愛宕山の裏へ
銀座線に乗ると、会社を行き過ぎ、虎ノ門で表に出る。
少し朝が早いから、居酒屋が並ぶ細い通りでは、ゴミ出しをしている人もいる。
周囲が取り壊されて露わになった渋い家。ここのところ、虎ノ門ヒルズの周囲では、古い建物の解体が続いている。
古い建物を追うように歩き、「まだここは残っているか」と安心しつつ、「間もなくここも」と胸の中で感じる。
申し込むのが遅いからいけないのだが、人間ドックの予約は空いている早い時間。
一日のコースだから昼食後の昼休みがある。朝食抜きであるから、午前が終わればすぐに食事をして表に出る。
早い時間の予約であるから、12時頃には食べ終わり、午後1時まで1時間ほど休憩である。表に出れば、古い建物は随分と減り、巨大な空き地で何かの建築が進む。
愛宕山の近くまで行くと、トンネルを抜けて向こうへと行く。
山の向こうは品の良い古い建物が残っているからであるが、まずはここに寄る。今年も建物は残っていたと一安心。
喫煙スペースを兼ねた自販機コーナーである。銅板の看板建築。天井は、ブリキだろうか。銀色の模様が昔懐かしい。
その奥から表を見ると、2本のイチョウが美しく黄色に輝いていた。
そのイチョウを眺めに行き、いつもとは違う方向へ歩き出す。ドックの昼休みは毎回愛宕山だから土地勘もあるし距離感もある。
いつもと違う角を曲がって驚いた。古い木造建築が残っているのである。
細い路地ではあるが、昔は栄えたであろうとこを思わせる店が並ぶ。果たして、何件が営業しているのかは分からないが、いい風情である。
細い路地を鍵の手に歩き、通りに出ると、向こうの方へも古い店が連なっていた。
愛宕山トンネル方向へと戻ると、洒落た洋風建築が残っていた。ちょっと外国にでも行ったような気になる。
その家の脇、お寺の裏の塀沿いに入る。その先には大きな木が赤く紅葉している。
赤い木の所は先ほどの細い路地がつながり、丁字路となっている。アスファルト舗装に埋まる石。石の階段の跡が、ここに何か立派なものが建っていたことを示しているように感じた。
写真を撮りながら、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり。帰る前に誰もいなくなった喫煙所を撮影する。なかなか良い空間である。
階段を上り下りして運動をした方がよかろうと思い、帰りはトンネルをくくらず、脇から愛宕山に登る。
ただ、時間もないのであまりのんびりはしていられない。勝手知ったる庭のようなところを足早に抜ける。
愛宕山も紅葉していたが、モミジの赤ばかりが目立つ紅葉だった。申し訳ないが、今年の紅葉は枯れた葉が目につき、あまり美しくない。
ドックの午後の部が終われば、先ずは喫茶店である。バリュウムの下剤が効いてくると困るからだ。
ところが昨年寄った近所の喫茶店は「閉店」というシンプルな紙が貼られていた。
お腹と相談しながら、雰囲気の良い喫茶店はないかと探しながら、西新橋、虎ノ門と歩く。
ネットで覆われ、屋上がジャングルのような建物。随分前からこんな感じだったかなと、その前を歩く。
すると「森ビル」が!! これはあの森ビルなのか??
どんどん古い建物は消え、どんどん細い路地が消えている。1年に一度行くのであるが、去年歩いた道がなくなっている。去年なかった道ができている。
広大な空き地が出来上がったと思うと、大きなビルが建ち、大きな道が出る。新橋、虎ノ門、愛宕山の景色がなくなっていく。
絶滅が近い喫茶店は見つかることもなく、虎ノ門から地下に入ると、そのまま一気に西浅草に戻り、お腹の都合で自宅待機となったのである。
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