2012年も1月2日は真壁町。しかし…
そんな光景を見て、やっと、ここも震災の被害を受けたことを実感する。
ご主人は、真っ先に奥へ案内した。店を抜けると、時代劇を思わせる光景が広がっていたのだが、今回は、とても醜い光景となっていた。
コンクリート製の煙突も、縁の部分がひび割れ、一部がかけ落ちていた。
明治、大正、昭和と歴史を刻む酒蔵だが、もっとも古いと思われる大きな、そして、少し傾いた蔵。今は修復中の足場が痛々しいが、その前にいるときに地震が起きたのだそうだ。
なんでも、建物の方向で、瓦などの被害が異なったらしい。ある方向は、瓦が崩れ落ちたが、ある方向は、瓦は動いたものの、崩れ落ちはしなかったらしい。
妻面が、こちらに少し傾いた蔵。その前であの大地震。蔵自体は大したことはなかったらしい。不幸中の幸いというのだろう。ご主人は無傷だった。
被害はあったものの、倒壊にいたることはなく、今年も新酒を購入することが出来た。古い蔵で、一番に崩れ落ちそうに見えるが、それが意外なほどに持ちこたえた。
建築基準がなかった時代の建造物は、とても丈夫に作られているということだろう。基準があることで、今は基準ぎりぎりにしてコストと納期を抑えているのではないか。
基準がなかった時代は、お金を掛けるのだから「一生物」という考えであったのではないかと思う。それは、一般庶民の住宅には当てはまらないだろうが。
今年の真壁町の散策は、例年とはちょっと違うものとなった。ただ、今年も田中商店で昼食をとるのは、いつもと変わらなかった。
田中商店のところへ行って気が付いたのは、あの立派な看板の時計店がないということ。郵便局は健在だが、隣の瓦屋根は無残なほどに崩れ、向かいにあった時計点は、更地になってしまっていた。
鳥居がたくさん並ぶお稲荷さんは、灯篭が崩れたままとなっていた。余震で、再び崩れ落ちる危険があるからであろう。
平四郎最中を買いに行く途中で、カラフルな建物が目に入ったが、屋根のシートが飛ばないように抑えている土嚢の袋だった。
立派な石で出来た米蔵であるが、後から付け足したのであろう、差し掛けの屋根の殆どがなくなっていた。
「この蔵が好きだったんですけどね」
毎年参加している会員がポツリと言った。
彼はまた、「あの時計店の様に、僕らが知らない所で、古い建物が解体されているのでしょうね」とも言っていた。
文化財に指定されているところは、修復、復元をする必要があるが、もう商いもやめてしまった昭和初期の店舗などは、修復の費用を考えると、解体する他はないのかも知れない。
しかし、昭和前半の建物であっても、今や古い貴重な建物になりつつある。今回は、色々な面で素晴らしい一日となったのであった。
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