前橋、麻屋百貨店とコマドリ食堂
「新しい食堂、開拓してきてね」と言われたものの、「はて?」どうしよう。
「とりあえず、麻屋百貨店を見てから考える」と家を出る。表は、快晴。前橋市や関東平野を青い空がおおっている。
麻屋は、もうなくなってしまったかと思っていたが、まだ一階の壁、入り口部分が残っていた。
工事関係者は、カメラを持つ私を気にしているようだが、待ち行く人のほとんどは、麻屋の解体を気にしている感じはない。
とりあえず、国道17号を歩き、コマドリ食堂を目指すこととする。
ここ一年ぐらい、前を通ると暖簾が出ていなくて、全く寄れなかった。もし、今日も閉まっていたら、第二候補は岩神町のラーメン屋。
空気は冷たいが、背中から陽光浴び、ジャンパーを羽織っていれば暖かい。
昔、この近所で働いていた時に何度か寄った喫茶店が開いていたが、コマドリ食堂を優先して、閉まっていたらこちらと、計画を変更する。
田中屋旅館の先は、昔の東武「岩神駅」。向かいには歴史ある「ヤマニ醸造」があり、駅前の風情が残る。
田中屋旅館の脇の路地が昔の駅前通りだったらしい。岩神は大きな駅で車庫もあったと聞いたとこがある。その脇を入ると、「才川通り」に出るが、こちらが昔の本通りだったようだ。
恐る恐る角を曲がり、すかすようにしてコマドリ食堂を見れば、今日は暖簾がでているではないか。
何も考えずに、戸を開けると、おばちゃんが立っていた。
おばちゃんと同年代のお年寄りが4人。おばちゃんも一緒にお茶を飲んで楽しんでいた。
とりあえず、ビールと餃子を頼むが、てんぷらが出てきて、おしんこが出てきてしまった。
「あ~、写真撮る人だいね。最近、休みがちだったんだよ。」と話すおばちゃんも、厨房のおじちゃんも、以前よりも元気そうである。どうも、最近は、こんなお年寄りたちの憩いの場となり、夜はギターを弾いて歌う若者もやって来て賑やからしい。
80歳前後の女性たちとの会話を楽しんで、帰る頃になると、今度は60歳ぐらいの3人の男性が現れた。やはり常連で、これから飲むらしい。
ちよっと楽しい雰囲気ではあったが、このままいたら帰る機会を逸しそうなのでお会計をする。
しかし、賑やかで、働いていられたら、お年寄りも若返るのを実感した。
古びた店の残る街だって、賑やかで、現役で商売で使っていたら、若返るのだろうに。
才川通りで広瀬川に向かう。駅から出てきた路地は、赤レンガの倉庫に突き当たり、その左手の角には昔からあるという「日英堂」のパン屋さん。
才川通りの広瀬川側は、「一才通り」と云ったと聞いたことがあるが、こちら側は広くて、倉庫、商店、事務所などがあり、駅前の風情がある。前橋駅の辺りもこんな感じだったことを思い出す。
写真を撮っていると、今は閉めている商店のところからやって来て、「町の歴史を撮ってるんかい。」とニコニコと話しかけてきた。
「はい。消え行く前橋の街を撮ってます。趣味ですけどね~」と答える。
普段は、あまり人影を見ない前橋の街であるが、天気に誘われて、年寄りが湧き出してきた感じがした。
まあ、年寄りばかりでも、年寄りが元気で、活発でいてくれれば、それはそれで良い気がする。
そんな年寄りに誘われて、少し若い世代も街を歩くようになってくれば、まだしばらく前橋は、街でいられそうな気がする。
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