湘南電車になったのは、185系電車だった。
家に帰ると、乗り物好きの子供のように興奮して、かみさんに話をした。
日曜日の昼。新前橋から、特急「水上」「草津」に乗って東京に戻ることとする。跨線橋を下りて、自販機で缶コーヒーを買う。「もう水上は入線しているようだ」と振り返れば、そこには、あの湘南電車が停まっていた。
目の前に草津がやってくるのだから、向こうまで歩くことはないのだが、無意識のうちに私は湘南電車に向かって歩いていた。
白いボヤケタた色の185系が、とてもカッチリとした新しい電車のようになっていた。古臭い湘南色で塗られたはずだが、その濃い色合いは、185系のプレスラインを際立たせ、本当に新しい電車のように見えた。
日の当たるところまで行くと、小学校低学年のときの教科書「明るい群馬(だったか)」に載っていた、新前橋駅の準急あかぎの写真を思い出させた。
グリーンの帯がペイントされたグリーン車も新鮮な感じがする。中は、全く変わっていないのだが、カッコイイ最新型の電車に感じる。
電車に乗ってホームに入っていくと、鉄ちゃんならずとも、見慣れない電車に、列車を待つ人たちの驚いた顔が目に付いた。
一週間東京で仕事をして、上野駅で特急あかぎを待っていると、やって来たのは、またまた湘南電車の185系だった。
185系がデビューしたときに、「なんで湘南色に塗らないのか」と何人かに話した記憶がある。当時、国鉄勤務だったかは忘れたが、従兄がもっともらしい説明をしていたのを思い出した。
私は小さい頃、東京に親戚がいたので、準急だったのだと思うが、80系電車で、何度か東京へ行った。前橋から湘南電車に乗って行くのが好きだった。蒸気機関車も現役だったはずだが、私の鉄道の記憶は、「湘南電車」と「101系電車」である。
だから、80系電車が、165系電車になって、185系になったときも、湘南電車になって欲しかった。もし、最初から185系電車が湘南色だったら…別に何にも感じなかったかも知れないか。
それにしても、JRになってから、あの車体に貼られた白い"JR"のシールはカッコ悪かったし、電車の色も節操なくなってしまった。電車の形も、色も、昔はきちんとデザインしていたのではないかと思うのである。
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