冬が名残惜しい
写真は、年末のセメント工場まで歩いた、その先である。広い道路から離れると線路はカーブしていく。左手から別の線路が近付いているのが分かる。秩父鉄道の本線である。
少し行くと、秩父鉄道の線路は近付き、道はそちらへ向かっていく。いつ電車が来ても良いように、踏み切りの音に気を使いながら歩く。
踏切鳴り出す。とりあえず線路の近くまで走るが、最近の電車は速いのである。撮影場所を探す間もなく、目の前を横切って行く。ここまで来れば駅も近いと思ったが大間違いである。遠くの方に、線路を渡っているものが見える。
「もしかすると、そこが駅かもしれない。」
しばらく行くと、セメント工場からの線が、秩父鉄道と合流する。頭の中には、出掛ける前に簡単に見た地図が浮かぶ。もう近いと思いつつ、あの地図では、もっとセメント工場も近く感じたことも思い出す。
つまり、駅までは、セメント工場までと同様に遠いのである。
望遠レンズで見ると、機関車たちが見えるようになった頃。日は、どんどん傾いていく。日が沈む前に、駅までたどり着き、周囲の写真を少しでも撮りたい。
駅はどんどん近付いてくる。すると、ちょっと元気も出てきて、歩くスピードも速くなる。
しかし、駅を目前に「羽生行き」の電車がやってきてしまった。つまり、次の電車まで待たなくてはいけないということである。でも、写真を撮るにはちょうど良いか。
オレンジがかった日を浴びた、カナリヤ色の電車は、何だか昔の上電のように見えた。
駅に着くと、貨物列車が止まっていたが、パンタグラフを下ろしていた。
「やっぱり今日は貨物列車の運転はないのか。」
何とか日暮れ前に間に合った。まだ午後4時前なのに、随分と暗くなりつつあった。
この前の土日、そして昨日、今日と、ぽかぽかである。空気が春の香りである。この前までの連日の雪、ミゾレまじりの天気が、随分と前のことのように思えてくる。
何だか、冬の日が名残惜しい。
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