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2009年9月16日 (水)

秋晴れの根利で

P9133841_maebashi_town 先日の日曜日は目が覚めると、とても眩しい朝だった。最近、少々体調のすぐれない私は、気力で目を覚ましているものの、動きは遅い。

P9133850_akagi_ohtorii 群馬の根利での機関車修理の日である。なんとしてでも行かねばならない。前日にプリントアウトした配線図も持って行かなければならないし。

ビートルに乗って走り出す。街中に入れば、真っ青な空が広がり、これから越える赤城山も美しく輝いている。

P9133895_arrive_at_neri 快晴の秋の空の下、'69ビートルでの赤城山越えは、観光客の車が多かったものの、超快適だった。

P9133946_fron_inside 根利に到着すると、いつもの通り、森林鉄道の車両修復に手を出し、時折写真を撮る。

昼休みだっただろうか、「今日は根利の秋祭りだ」と聞く。

P9134409_cosmos 秋祭りも、私が行き始めて今年で4回目となる。お囃子の笛を吹く老人が亡くなり、テープを流していたお祭りの獅子舞も、昨年辺りから若者が引き継いで、お祭りの見栄えはとても良くなった。

午後2時を回ると私はそわそわしてきた。3時からお祭りが始まるのだが、諏訪神社に向かう行列から見たいのである。

P9134416_come_up 「そろそろか?」と林業機械化センターから下って行くと、太鼓の音が聞こえてくる。急いで山を下り、宿場のところへ出ると、ちょうど行列が現れた。

P9134422_omatsuri_no_ikkou そして、私も行列の人となる。

根利道という街道の宿場だった通りを行く。初めて訪れたときは、茅葺の家が軒を連ねていたのだが。家並みは変わってきたものの、まだまだ宿場の香りが残っていて好きなところだ。

P9134432_osuwasama 御諏訪様を抱えて区長さんが先頭を行く。今年は私のほかにも、そんな姿を写真に納めている人がいた。

P9134475_neri_area 元々は、機械化センターの辺りにあった諏訪神社だが、今は隣の山に移されている。機械化センターから、下ってきて、また山に入っていく。

途中からは、根利の集落が見渡せる。先の宿場や、昔の丸太を集めた土場など…。

P9134506_torii 年寄りばかりのところだから、神社に向かう一行は大騒ぎである。やっと登ったところは、木々に囲まれた薄暗い広場である。

P9134545_houno_susuki 諏訪神社の屋根にススキを投げて、米を撒き、お賽銭を上げてから、何やら祈る。

P9134576_shishimai_come_on 神事が終わると、しばらくして三匹の獅子が現れ、神社を周り始めると、それに皆が続いて三回まわる。

P9134596_turn_around 「おい、もう三回まわつたぞ!」

「おおそうかい」

毎年、そんな声が聞こえてくる。

P9134603_shishimai 薄暗い中で、怖い顔をした獅子が踊り始める。

太鼓のリズムも、笛の音も、そして踊りも不思議な調子で流れていく。4拍子なのだろうか、ゆっくりとしたリズム。そして3小節位で一段落してしまう、とても不思議な一般的な音楽とは全く違うものなのである。

P9134613_three_shishimai 踊りに合わせて、「次はこうだろう」と思って身体を動かしながら、写真を撮るのだが、なかなかリズムに乗れないし、すぐに裏切られたような動きになる。

P9134630_shishimai_start この先の桧枝岐の歌舞伎も、全く独自の解釈のものらしいが、この獅子舞もそんなところがあるのではないかと思う。

P9134661_shishimai_yellow 今でこそ、前橋市街から車で一時間半ほどで着くが、30年ほど前までは、遠いところだった。

道路は狭くて未舗装で、赤城山の等高線に沿うように、沢があれば、ずっと沢り上流に向かい、小さな橋を渡って、また戻る。その繰り返して、距離もあっただろうし、とにかくスピードも出せなかった。

P9134687_shishimai_neri 中学の頃は「群馬の秘境」などとも言われていた。元々は北勢多郡で、黒保根村の下田沢から行くのが根利道だった。

P9134696_shishimai_blue 今は沼田になっているが、それは戦時中に森林軌道が日陰南郷から敷かれたからであろう。南郷から根利へ通じる道路は、キャスリン台風で軌道が流され、道路を作ったらしい。

P9134739_end_of_matsuri そんな秘境に、どこからか獅子舞が伝わってきた。見様見真似で独自に進化したものではなかろうか。

P9134753_neri_ringyou 獅子舞が終わると、茣蓙が敷かれて酒が振舞われる。昨年は夫婦で行っていたので、少々お付き合いをして山を降りたのだが、今年は一人である。

毎年来るようになったので、地元の人の中にも顔見知りができ、挨拶をしてくる。

「今年も飲んでいっておくれ」という声に後ろ髪を引かれつつ、危なっかしい石段を降りたのだった。

いや、幸せな一日を過ごさせていただいた。今でもとても長閑な、素朴なところ。前橋から一時間半のところとは思えない。

そうそう、実は機械化センターに戻ると、長野から来た若い森林鉄道マニアがいた。以前王滝村を訪れたときにしばらく話をした彼だった。

午後4時を回っていたが、彼が「是非、軌道跡を見たい」とのことで、薄暗くなった根利の山に入って行き、夏草が生い茂った沢を下った。軌道跡を見て沢を登れば、随分と暗くなっていた。更に、そのあと、機関車修理の会の会長宅まで案内し、そこでもしばらく話し込んで帰宅となった。

いやいや、朝起きるのは辛かったけれど、なかなか長い、充実した一日となったのだった。

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