七夕の夜
嬉しい理由はもうひとつあったか。今週は、急遽入った仕事がふたつあったこと。定時で帰るのは構わないが、少し忙しいぐらいがちょうど良い。定時で終わるように段取りをして、てきぱきと片付けるのが心地よい。
「なんで、また司馬に行かなくては行けないのだろう。」と本心思うが、そこにいる常連と楽しく話をしたい気持ちがあって、ついつい向かってしまう。
風があって意外と涼しいと思っていたが、さすがに40分歩くと、暑い。汗が出てくる。
「もう少しだから、頑張ろう。」そんな気持ちで店に着くと戸が閉められている。
「クーラーが効いている。」そう思うと、ほっとしたが、店を覗くと、随分と客がいる。
覗き込んで、左右を良く見てから戸を開ける。カウンターしかない細長い店だから、向こうから入るか、こっちから入るか、お客さんの様子を見てから、適当な戸を開けて入るのが大人というものだ。
時間も早くなく、遅くなく、ある面中途半端ではあるが、早い時間に飲む人と、遅くまで飲む人が混在していた。戸を開けると、最近常連の仲間入りした女性が、
「のぶさん!」と席をずらして、「ここに座りなさい。」といわんばかりに空けてくれた。
そんな感じだけで良いのである。そしていつもの顔ぶれと飲んで話をするだけで、落ち着くのである。
まあ、自宅に帰って家族と話をするかと同じようなのが良いのかもしれない。
今日あったことを話して、国会議員のことを愚痴り、日本だけではなくアメリカ経済もぼろぼろだと偉そうに言う。
そんな話をしても許してくれる人間と一緒にいられる。それがいいのだと思う。
だから、時には「私の話を聞きなさいよ。」と愚痴られて、おとなしくしているのも微笑ましい。
全国的に七夕の夜。月明かりが細切れの雲達を白く照らし出していたのが美しかった。もちろん東京だから、天の川なんてはなから期待はしていないが、良い晩だった。
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