鳥越祭り、鳥越の鈴木酒場
まっすぐ田原町まで歩くか、途中で飲むか…。
浅草橋の駅をくぐって、鈴木酒場まで行くと、誰も客がいない。だったら、寄っていくか。
入ろうとする直前に一人入ってしまった。どうも町内会の関係らしい。マスターと雑談で盛り上がっているので、私も話しに加わらせてもらう。
「馬頭観音」などの興味深い話に発展したところで、他のお客さんもきて、先の方は、まだ回るところがあるのか店を出て行った。
そう思ってはいるもののなかなか口に出せず。
帰る前にトイレに寄ると、素晴らしい年代ものだ。出てくるとカメラを持って、マスターに「トイレの写真を撮らせてください」とまた戻る。
今時ないね。ヒモというか、クサリを引っ張るタイプ。私が写真を撮っていると、
「もうこの界隈でも三軒だけだ。」
「いや、四軒はある。」
と盛り上がっていただいた。
残ったビールを飲んで、そろそろ帰ろうかというときに、一組入ってきた。年配のカップル。会話から、夫婦ではなさそうだが、みんな公認の近所のカップルらしい。
私には、そう見えた。
「何で今年は神輿が飾ってあるんだい。」と言ってきた。
「今年、綺麗にしたから。もうすぐお祭りだし、お披露目で飾ってるんだよ。」とマスター。
会計を済まし表に出て振り返ると、隣の店にこうこうと明かりが点き、三人のおばちゃんが何やら盛り上がっているその向こうに小さな神輿が飾ってあった。
「どう、おれの写真、綺麗に撮れてるでしょ。」
すると、一人のおばちゃんが解説を始めてくれた。
ピカピカとして真新しく見える神輿だったが、とても古いものらしい。それを綺麗に直した、つまりレストアしたということらしい。
鳳凰の羽根がピンと立っているのは珍しいらしい。
こっちが入っていけば、自然と受け入れて、親切にしてくれる。下町というのは、こうゆうことなのか。そして私も、そんな中に自然と入っていってしまうような人間になったのか。
歳を取るのを嫌うのが一般的だが、歳を経たら、経たなりの楽しみがあることを実感したのであった。
ちなみに「鈴木酒蔵」と看板にあるが、正式名称は「鈴木酒場」ということだ。「酒場ではよくない。」と、お客さんたちが盛り上がり、お客さんたちの意見で「さかぐら」としたのだそうだ。
「酒造」ではなく、元々酒屋だったためということだ。忘れないようにここに書き留めておく。
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