砂利採り線に思いを馳せて
急いで洗車をして、ワックスを掛けて、昼食も摂らずに'65を走らせる。
そう、エンジンが掛かったのは、写真の通りの小さな機関車。利根川の砂利採りで使われていたものだ。昭和20年代、この手の機関車としても古い方かも知れない。
しばらく写真を撮りながら話をして、エンジンを掛けていただく。排気管には消音器が付かないので、かなり勇ましい音がする。2、3メートル前後に走らせ、エンジンを切る。
春の心地よい気候の中、しばし、機関車を眺めて話をする。
「この機関車が砂利採りをしていた時の写真がないかなと思ってね。」と知人。
昭和30年代まで、各地で川砂利を採取していたが、このような小さな機関車が10両ぐらいのトロッコを従えて砂利を運んでいた。
「ダンプカーが出てくるまでは、みんなトロッコだったんだよね。」
「人手で積み込んで、人手で積み替えて、それでも良かったんだよね。国鉄だって、日通や浅香倉庫の人が貨車を押して入れ替えていたからね。」
運転席は、無骨そのもの「男の仕事場」だ。こんな機関車が、埃っぽい白い川原で砂利を運んでいた。
当時の人は今以上に肉体を使って働いていただろうが、想像する光景は長閑である。
毎日身体を使って、大変だったようにも思うが、日が暮れれば仕事は終わりだろうし、きっとご飯も美味しかったに違いない。
今よりも、よっぽど人間らしい生活をしていたのではないだろうかと、私はあこがれもある。適度に身体を動かして、太陽の光を浴びて。でも、今日も機関車組立ての手伝いなどをする場面もあったが、私は記録係が担当のようだ。本当は身体を動かして機関車に関りたいが、誰かが写真を撮っておかなければいけないし、みんなも私が撮っておいてくれるだろうという感じだ。そんな記録はそう遠くないうちに、どこかで公開したいと思う。
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