桜を眺めて一才小路まで
一ヶ月ほど前に入院してしまったおやじさんのこともあるし、床屋さんの路地を抜けて八幡様に出る。店はここのところ閉めていることが多いが、息子さん家族が楽しそうに子供たちと洗車をしていたので、容態は落ち着いているのだろう。
八幡様の桜を眺めて、そのまま坂を下り、今度は広瀬川の桜へ。天気は穏やかだったが、そよ風と共に花びらが川へと舞い落ち、水の流れをトレースするように白い模様を作っていく。
弁天通りが近付くと、桜も少なくなるが、深緑の枝垂れ柳も美しい。川沿いに残る古い商店も良い雰囲気で、私はこの辺りも好きである。
橋のところの信号機のある四つ角に古い街灯が残っていた。私の子供の頃の前橋の街灯は、皆こんな感じだった。もう40年近く前に殆ど姿を消していたのに。写真の部分が蓋になっていて、上側を押せば下が持ち上がるので、そうして開けて中にあるスイッチをON、OFFしていた。
レンガ倉庫のある才川通りに入る。天気が良くて、道路は白く輝き、とても広く見える。その広い通りの西側には古い事務所が何件か残っている。町の中心部、駅の付近のような光景を感じた。
才川通りというのは、とにかく賑やかだったという。この先にはいくつもの製糸工場があり、大きな倉庫が、そして市場もあった。
そんなところだから、レンガ倉庫の正面の路地を入ったところに路面電車の駅があった。ちいさなパン屋さんがあるところの路地だ。
そして駅へ行く路地に入る。ここには車庫などもあったという。その向こうには「ヤマ二醸造」の煙突が見える。「今はステンレスの煙突だ」と以前おやじさんが言っていたが、レンガ煙突は危険なので半分ぐらい崩してある。
通りに出た左手は田中屋旅館で、町の中心部だったことを垣間見せる。
本当は、岩神に行って、そこから総社まで歩くつもりだったが、古い家が見えたので、少し県民会館側に歩いて写真を撮る。
「そうだ、ここに古い食堂があった。やっていないのかも知れないが…」と振り返ると、「コマドリ」と書かれた暖簾が出ていた。12時を少し回っていたのたが、お客さんはおらず、ショーケースを眺めていると、おじさんと、おばちゃんの姿が見えたので、特に心の用意もなく入ってしまう。
今日は、飲まないと思っていたのだが、こんなに風情のある店に入って、飲まないということはない。とりあえずビールを頼んで、「何かつまみは・・・」と言いつつ、ワンタンメンが食べたくなった。
「ワンタンメンでいいや」と言うと、
「そうだね。つまみは何か漬物かなんか出してあげるからさ。」とおばちゃん。
柿ピーの小さな袋が出てきたので、それがつまみかと思っていたら、冷奴を持って来てくれた。天気が良くて、もう夏になるのでは思わせるほどだから、冷奴とビールというのは美味しかった。
この「こまどり食堂」は、もう70年以上やっているらしいが、「三代目は継がないんだってさ。」とおばちゃん。おばあちゃんは、昭和10年生まれ、宮田屋さんの近所。連雀町(?)だったという。おじさんは、昭和4年生まれ。
そうそう、私が「才川通り」と言っていたら、「ここは一才小路ってさ、才川通りは向こう側だよ。」などと言っていた。この店の前の通りの北側が才川通りで、南側の広瀬川寄りが一才小路なのだとか。
そんな話は切もなく続いて、長居をしてしまった。とりあえず、岩神を通り抜けて、富士機械の方まで行けば、桜が見られるだろう。
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