カラオケ放浪紀
私が店に入ってビールも出さないうちに、マスターは「浅草に行こう。」と先にいた常連二人を誘っている。残業して、その後歩いてやっと店に到達したばかりの私にとっては、ちょっと不快にさせる会話である。
ここ1、2ヶ月、マスターと常連客とカラオケに行くことが多くなっが、それはマスターがカラオケの点数に目覚めたからだ。
「浅草の三咲は、オレが歌うとイイ点がだるんだよ。」
「この前、3人で昼間、カラオケボックスに、行ったら、これがいいんだ。オレが90点台連発なんだから。」
「オレたちと一緒に行こうよ。」とししきりに誘っていてるので、
「オレたちじゃなくて、オレとだろ。」と突っ込みをいれてやる。大体、私がいつもカラオケに行くと思ったら大間違いである。
しかし、私が2本目のビールを半分ほど飲んだ10時頃には、二人は帰ってしまった。
「まあ、浅草だったら安いし、近いからいいけど。」
としぶしぶ気味に言ったのが良くなかったのか。
「じゃ、半分持つから、湯島に行こう。どうする。ジンちゃんのとこ、最近行ってないでしょ。」
結局、タクシーに乗り、湯島のフィリピンの女の子のいるお店に行った。連休前だからか、お店のレイちゃんの誕生日だからか、珍しく混んでいた。マスターはちょっとムっとし顔を見せて席に着く。
店は混んでいるので、ジンちゃんは来ない。チイママが私とマスターの間に座る。
彼女とマスターの付合いは10年になるという話だ。その間に、結婚の話も出たようだが、マスターは、それを無視してしまった。それでも、仲良くやっているように見えたが、昨年末のことだった。
「もう別れたから。もう、あんな店には行かない。」
でも、2、3週間もすると、彼女の店に行ってしまう。そしてまた「つまんなことで喧嘩になってさ。もう完全に別れた。」などということが数回。
今回、私を利用して、自分が彼女に会いたかったのだろう。彼女が隣りに座ると、つまらない事を言って、手を握ったり、抱きつきそうになったり。
彼女も10年来の付合いだから、あまり嫌な顔をせず付き合っている。
交代してジンちゃんが座ると、マスターは大人しくなり、カラオケの順番を待つばかり。お客さんが多いから、なかなか順番も回ってこない。
だいたいチイママとジンちゃんが交代で座って、時折カラオケを歌って。でも、私もこの3人との付合いは間もなく1年になるから、気心が知れていて心地良く会話が出来る。
そんな戯れで3時間はいただろう。彼女とマスターは言い争う様な感じとなり、間に入る私も彼女に加勢するものだから、会計が済むとマスターは1人で、ぷいっと店を出ていってしまった。
いつもも、お店を出ると、1人で勝手にどこかに行ってしまうマスターだから、あまり気にはしないが、今度は私がジンちゃんに捕まってしまった。彼女が他のお客さんを見送りに行ったところで、私も席を立って、少し遅れて店をでる。
5人組みのお客さんを見送って「バイバイ」と言っているので、私も後ろから「バイバイ」と声を掛けると、もう帰るのかと、ビルの入口まで引っ張られる様に戻された。
「あっ、ケイタイ買い替えたから電話番号が入ってないや。」
すると彼女はケイタイを取上げて電話番号を押し始めた。
「ちゃんと登録して、絶対に電話してよ。」
深夜の歓楽街を歩いて帰路に着く。なんともいえない気持ち良さがある。まだ、これから始発まで飲もうとか、カラオケボックスで時間を潰そうとかいう人たちが、これまた良い雰囲気だ。
あ~、もう眠くなってしまった。
そのあとまた40分ほどかけて歩いてマンションに辿りついた時には、3時半を回っていた。
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