旧きたたちばな村
コースは決まっている。敷島公園脇の利根川沿いを道なりに走り、国道17号を横切り、旧北橘村を駆け上がるのだ。利根川沿いを行くと、箱田城のあった城山の桜が満開のようだ。
やはり、1200ccは非力だったが、丁寧に運転すれば、それなりのペースで上がってくれる。上りきる少し手前の駐車場にビートルを止める。「木曽三社神社」だ。
神社というものは、山に張付いていて、一般的には長い階段を登るものであるが、ここは鳥居をくぐると山を下る。湧き水が流れ出る谷に下りると、その沢を渡り、反対の谷に少し登る。上から見下ろして向かっていく神社というものはあまりないのではないだろうか。
近くには桜の木はないが、何処からともなく花びらが散ってくる。沢は小さな池に流れ込み、透き通った水に鯉が泳ぐ。犬を散歩している方がいたが、どこかへ行ってしまい。静かな中に、私一人である。
山側に建つ小さなお堂は、まるで漫画日本昔話のようである。このすぐ上の道は、観光の車やバイクが音をたてて走っていたが、ここは静かなものである。
南の開けたほうには大きな池があり、その向こう側に桜が何本か並んでいる。といっても、花見客がいるわけでもない。
私も、この場所に最近初めて来たのだが、山の上ではなく、谷間にあるのだから、道路を走っていても、多くの人が気が付かないと思う。
犬を連れたご夫婦、そしておばちゃん5人組がやって来て、私はそれを機に階段を登る。
少し戻ると「聖酒造」である。以前は今井酒造場であり、その裏手には「今井醤油」がある。
旧公民館のところにビートルを止めて歩き出す。私は、この酒造と味噌醤油の醸造所のある一帯が好きである。大きな農家も残っている。今日は、桜が美しく菜の花も満開であった。
醸造所の前を過ぎ、酒造の裏手を抜けると、表通りの先に続く小道に大きな桜が見えていた。
道路脇を歩き、すぐ先の路地に入って戻る。両脇を背丈の高い木々に挟まれた小道。その先に続く板塀が日本の風景を作り出している。
小道は山に沿って右に折れる。小道に囲まれたところには大きな古い家がある。桜の樹の下でカメラを構えていると、そこの家の方が出てきたので、挨拶をする。その方は、写真を撮り終わるまで、ニコニコと待っていてくれた。
その家の少し先から、見下ろせば、桜の下の方が、今井醤油だ。その右手前方には、桜が美しい城山が見える。
そのまま山添にしばらく歩いてから下る。下って来たら昔の公民館の所を入って、畑をぐるりと周る。桜の樹は2本だが、菜の花も咲き、とても美しい。
その小道の一番奥には、先ほどの挨拶をした方の家へと続く道も延びていて、立派なお宅が樹木の間から垣間見れる。
反対を見れば、今井醤油の塀と土蔵が続き、正面には城山の桜が。
行きに見た敷島公園は、花見客でいっぱいだったから、そちらに行ったら、混雑は間違いない。裏道も選択肢になるが、一番無難な国道17号を選んで帰る。
春を満喫した充実感が、落ち着いた気分にさせるのだろうか。1200ccという1964年製のワーゲンがそうさせるのだろうか。
いずれにせよ、帰りは急ぐことなく、流れに沿って、辺りの景色も楽しみながら帰ったのだった。
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