上電に乗ってお買い物へ
八幡様の樹木は、枝を落とされてちょっと寒々しいが、残った枝を大きく広げて、ポカポカとした太陽を浴びているかのようだ。
国道50号を歩き、元商工会議所の坂、「八展通り」を下る。
今は殆どが店を閉めているのだか、雑居ビルが並び往時の賑やかさを伝えている。通りの突き当りが中央前橋駅。綺麗なガラス張りの新しい駅舎だが、電車を模ったであろう、ふにゃふにゃとしたネオンが、ちと田舎臭い。
広瀬川の水は少なく、穏やかで、透き通った水で川底も見え、角度によっては青空を映し、とても清らかな感じだ。
発車まで時間があるので、少し歩いて写真を撮る。川沿いの細長い公園には、蒸気機関車をモデルにした遊具がある。上毛電鉄があるので、鉄道の遊具ということだろうか。
いやしかし、この遊具が出来たとき、私は時代が変わったことに気が付いた。それまでは実際に線路を敷いた上にコンクリート製であっても、もっとリアルな列車が載っていた。争って運転手ごっこをしたものだが、このSLにはそのようなリアルさがなくなっていた。1970年代、安全の問題もあるだろうが、遊具、玩具が、子供だましになってしまった。(…う~ん、深いでしょ。ただの遊具なのに。)
西桐生からの電車と交換で発車するため、少し早めに改札を抜ける。ホームの上を伝わって、電車や何かを撮っていると、踏切が鳴り出した。
「お父さん、今度は黄色?」と言っている。
おじさんは、頭の中で、「そうそう、昔の上電の色だよ」と応えてあげる。
さて、中央前橋名物「ダブルミラーのダブルヘッダー(!?)」の写真を。ホームの先端に来ると、誰もがついつい撮ってしまうのである。でも、いい。
運転手が乗り込み、私も電車に乗る。ロングシートの一番前に陣取った先ほどの子供の迷惑にならないようにと、運転席の後ろに立つ。
レンズを交換しようと座席に座ると、子供はイイ子で座っていて、そこからでは線路は見えない。「デハ、おじさんが」と反対の窓側から写真を撮らせてもらう。但し、遠慮がちではある。
大胡へ近付くと、デハ101や104がいないか、望遠レンズで覗いて見るが、なんだか景色もおかしい。104が居ないからか。
大胡駅で、その親子は降りていった。というか、中央前橋を出たときには10人ほどいた乗客は、私を残して、皆いなくなっていた。
中央前橋から約30分。「新屋駅」に到着した。上電のホームは皆リニューアルされてしまっているが、駅の周囲にはまだまだ昔の駅の面影を残すものがある。
ホームを降り通りのところには、小さな商店、その向こうにも古い店があり、利用客が多かった時代を想像させる。
さて、ここから約3キロ。徒歩で酒造を目指したのであった。
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