前橋市総社町
群馬総社駅から歩いて行くと「総社町」の交差点には、駅への入口らしい立派な時計店が。
線路と駅への道に挟まれたところには神社があり、良い風情である。
総社には大渡の自動車教習所があり、私はそこへ通った。20代の頃は、駅の近くに友人がいた。
小さい頃は、伊香保温泉などに行くときに良く通った道でもある。あれから随分と経ち、変わっているといえば、変わってはいるのだが、まだまだ古い家が残り、昔の風情が残っている。
それにしても、立派な総二階の家が目立つ。引込線跡を辿ってから、裏道で駅方向へ戻る。路地を抜けると通り沿いに蔵がある立派な旧家が目に入ってきた。
「酒造だろうか。」
その家の脇の路地に、また入って行く。それにしても立派だ。大きな家が二つあり、そこが渋い渡り廊下で結ばれている。
路地を抜けると、小さな畑があり、その先は開け、裾野の広い赤城山の姿が。その小さな畑で作業しているじいさんに声を掛けたが、黙々と作業をしている。どうも耳が遠いらしい。
すると後ろから、おばあさんの会話する声が聞こえてきたので、そこへ行ってみる。
「ここの家は、酒蔵か何かだったのですか?」というと、
「カイコ(蚕)だよ。」と返ってきた。
背中の曲がったおばあさんは、生まれも地元らしく、色々と話をしてくれた。但し、私ともう一人のおばあさんの話は、良く聞いていない感じだったが。
昔は養蚕が盛んで、この辺りは皆、養蚕農家だったこと。忙しいときは、蚕だらけで、寝るところも無いくらいだったこと。蔵があるが、家には蚕が居るので、着る物や、箪笥なども蔵に入れたこと。
利根川に近く、掘っていると川砂利が出てきたこと。そうそう、駅が出来たときは、家の裏に線路を敷いて、利根川の方からトロッコで砂利を運んだことも話し始めてくれた。
赤城山を望む寒風が吹く中、二人のおばあちゃんの話は尽きなかった。
「おばあちゃん、もう寒いから行こうよ。」
「家ん中より、ここのが温かいよ。炬燵にもぐるだけだから。年寄りしか居ないから、危ないからストーブはつけないんだよ。」
「そうかい。おばあさん、いっぱい着ているから、ストーブに気を付けないとね。」
畑の中を歩いて、駅に向かい始めると、ゲートボール場の中に、「どんどん焼」が造られていた。私は、小走りにそこへ行き、少し色付いた空と、養蚕農家をバックに写真を撮り、やっと帰路に着いたのだった。
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