上野物語5
お店で女の子と仲良くなっただけで、向こうは仕事なのだろうから「電話をする」と言われても、どんなものかとも思うが、やはり期待をしてしまう。
金曜日、土曜日、日曜日と電話は来ない。
全てはその場限りのたわごとだったのだろうか。いや、そうは思いたくない。
私は週が明けると、マスターのうどん屋に向かっていた。マスターに何て言おう。どうしてももう一度彼女と短くても良いから話をしたい。真意を訊いてみたい…。
いつもの様に「キリンラガー」を頼む。いつもと同じで、楽しいお客さんがカウンターに集う。年配のおばちゃんもいる。
話が盛り上がってきた頃、お客は私ともう一人、染矢さんになっていた。ビルのシャッターも閉まり、私達が帰れば閉店である。そんな頃にマスターが言った。
「じゃ、軽く行こうか。1時間五千円で」
私の気持ちが分かったかのように、マスターは服を着替えると、私達二人をこの前の店に導いてくれた。
「今日は1時間で帰るからね」と私が言うと、染矢氏も
「おれも帰るよ」と。
しかし、結局は1時間で帰れるはずはなかった…。
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